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Viaの解析にまつわるあれこれ2004年2月26日 ”SonnetでViaを解析できますか?”というお問い合わせを非常に多くいただきます。答えは”できます”です。しかしSonnetに限らずシミュレータでViaを解析するまえに知っておくべきことがくあります。この文書はそれらを説明します。 モデルの簡略化--リアルなモデルより、効率的なモデルを--
このViaを表現する4種類のモデルを紹介します。
ほとんどの方が、見た目の印象の良いvia0.zonのモデルで解析しようとします。一方私が、様々な機会にお勧めするのは3番目の四角いモデルです。右のグラフは上の4つのモデルの解析結果です。あきらかに4つのモデルの結果は非常に近く、4番目のモデルでさえ、 その一見かけ離れた形状にもかかわらず、誤差は最悪5%かそこらです。市販されているインダクタの公差は(かなり良いものでも)5%程度に過ぎないことを思い出してください。 一方、解析時間やメモリには大きな差があります。例えばvia2.zonはvia0.zonの1/8の解析時間です。この例のようにひとつのviaを解析するならたった2.6秒の差ですが、 viaを多く含む複雑な回路では1時間と8時間の違い、あるいは1日と1週間の差になるでしょう。 これは見た目がリアルなモデルよりも、精度を損なわずにリソースを節約するモデルを作ることの重要性の一例です。そして、このことはSonnetに限らず、あらゆる電磁界シミュレータを使う上で必要なことです。 丸い図形を四角に簡略化する上のvia2.zonで使っている四角の寸法は次のような考えで導くことができます。 [外接する四角柱のインダクタンス]<[円柱のインダクタンス]<[内接する四角柱のインダクタンス]円柱の直径をDとすると、 外接四角柱の一辺=D 内接四角柱の一辺=D/√2だから [D(1+1/√2)/2=0.85Dを一辺とする四角柱のインダクタンス]≒[円柱のインダクタンス]この考え方は非常にシンプルですが、実用的で、viaだけでなく、非常に応用範囲のひろいものです。実際、シミュレータが今ほど一般的でなかったころは設計の現場で日常的に行われていた考え方です。 板状のviaを使って簡略化する上のvia3.zonは次の二つの段階を経て導かれています。うまくすれば時間やメモリを大幅に節約できますが、あまりにも大胆なので、許容できる誤差に収まるかどうか確認してから使うべきです。 しかし、この方法は"Sonnetよりあらゆる場合に優れていると誤解されがちな有名な3次元シミュレータ"のマニュアルの中にも紹介されています。 丸を平板に簡略化する上の"丸を四角に簡略化する"よりさらに大胆な方法で、"直径Dの円柱のインダクタンスは、幅2Dの平板のインダクタンスと大差あるまい"という仮説に基づいています。 ランド面積ランドの形状はvia2.zonの半分にしてあります。 Viaの評価パラメータ
--問題に適したパラメータで評価する-- Sonnetも含めてほとんどのマイクロ波用シミュレータは、解析結果を指定しなければSパラメータで表示します。上の4つのモデルをSonnetで実際に解析して結果を表示すると右のような一見不可解なカーブが表示されます。 もし損失が無ければ、このviaのモデルは、非常に小さいインダクタで接地された回路ですから、db(s11)=0になるはずです。右のグラフをよく見れば全周波数でdb(s11)=0になっていることが、わかります。しかし縦軸の目盛りが自動的に設定されているので、微小な計算誤差が大きく拡大されて表示されているのです。 解析であれ、測定であれ、Viaをdb(s11)で評価しても得られるものはありません。
右のグラフでは縦軸をImag(Z11)、インピーダンスパラメータの虚数部に設定してあります。Viaは非常に小さいインダクタンスですから、そのインピーダンスはIm(Z)=ωLになるはずです。グラフの左半分(周波数の低い領域)を見ると、Imag(Z11)は原点を通る直線になっており、この直線の傾きがViaの等価インダクタンスであることは明らかです。 ところが、グラフの右半分では下に凸の曲線になっており、Via(あるいはここで使ったモデル)が純粋なインダクタンスではないことが判ります。
SonnetのVer9からは縦軸をインダクタンスにしたグラフを描くことができます。このViaのインダクタンスは概ね0.63nHであることがわかります。しかしやはりこのグラフは下に凸の曲線で、このViaが純粋なインダクタンスでは無いことを表しています。 Sonnetの右のグラフだけでなく、多くのインダクタンスのデータシートや、測定器の表示も真にインダクタンスを表示しているのではないことに注意が必要です。
SonnetのSPICE exportの機能を使うとこの寄生キャパシタンスの値を容易に知ることができます。この例ではCは概ね0.35pFでした。右のグラフは Viaの解析結果と 0.65nHと0.35pFの並列回路の解析結果を重ねています。 0.65nHと0.35pFの並列回路は下に凸の曲線ではありますが、sonnetの結果とはまだ一致しません。LCの組み合わせで電磁界解析と同じ結果を得るにはより多くの寄生素子を含めた等価回路を導入する必要があります。それよりはSonnetの電磁界解析モデルを使ったほうが簡単で正確です。 これらのグラフについての見当から次のことが判ります。
Sonnetの限界--本当の3次元シミュレータが必要な場合-- 上の例のモデルではSonnetをつかって、いわゆるFull 3Dシミュレータよりも正確な結果を早く得ることができます。しかし、本当のFull 3Dシミュレータの方が優れている場合もあります。ここでは敢えてSonnetに不利な例をご紹介します。
この問題は長さ15mm,断面が3mm□の先端短絡角型同軸線路です。開放端から見たインピーダンスは5GHz,15GHzで∞,10GHzで0になるはずです。この構造は90年代に移動体通信機向けのフィルターに盛んに用いられました。 結論--問題に適したシミュレータとモデルを選ぶ--
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