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EvenとOddモードパラメータの扱い方

ソネットは対称線路のEvenモードとOddモード(もちろんこれは差動モードとも呼ばれます)のインピーダンス、位相速度を求めるために使うこともできます。 このためには、二つのプロジェクトを作らねばなりません。ひとつはEvenモードを、そしてもうひとつはOddモードをモデル化したプロジェクトです。

Oddモードプロジェクト

oddモードプロジェクトを作るには図のように4ポートの結合線路を作ります。

これは単に望む寸法の長方形の導体パターンを二つ作ればすみます。 あるいはもしLevel2 Basic以上をお使いならば、メニューの[Tools]-[Add Metalization]でParallel Linesの標準形状ライブラリを使うこともできます。 この線路はbox中に正しく中央に配置するべきであることに注意してください。 多くの場合これは絶対条件ではありませんが、二つの線路の対称性を保つためにお勧めします。

oddモードで駆動するために、ポートの番号を図のように +1/-1そして+2/-2にします。

ポートの番号を変更するには、ポート上で右クリックして、Propertiesを選びます。 port propertiesダイアログボックスが現れるので、ここでポート番号を負の数に変更してください。

この +/- に番号を付けることで +1ポートには電流が流れ込み、-1ポートには電流が流れ出します。 つまり差動モードです。 結果的に特性インピーダンスZoと実効誘電率Eeffの値は、oddモードのZoとEeffになります。このZoとEerrについては後で再び説明します。

Evenモードプロジェクト

evenモードプロジェクト oddモードのプロジェクトを作るには、図のようにポートの番号を +1/+1そして+2/+2にします。

+/+の番号付けはポートの電圧と位相を同一にします。 構造が対称ならば、電流もまた同一になります。 これはしばしばeven(偶)モードと呼ばれます。 結果的にZoとEeffはevenモードのZoとEeffになります。 このZoとEerrについては後で再び説明します。

対称性を効果的に利用する

回路の対称性を利用してevenとoddモードの解析を効果的に改善することができます。 対称性を利用すると解析すべき回路の大きさを半分にすることができるのです。 これは導体の量を半分にし、したがってメモリの使用量を1/4にします。 (モーメント法が使うモーメント行列の大きさは サブセクションの数N の自乗に比例します) さらに計算時間は1/8になります。 (モーメント行列の計算時間は サブセクションの数Nの三乗に比例するのです)

Evenモード対称性

Evenモード対称性は一方の電圧と他方の線路の電圧が等しいときに使われます。 これはまさに結合線路のEvenモードが持っているものに他なりません。 project editorのメニューで[Circuit] → [Box]を選び、 "Symmetry"チェックボックスをチェックしてください。 これにより回路の中央に対称線が現れます。

このevenモードの対称線は”磁壁”と呼ばれることもあります。 (この対称線の両側で磁界が0になるからです) 解析エンジンは対称線を見つけると、対称線より下の導体を全て無視します、 そして対称線より上の導体だけを解析し、メモリを節約します。 一旦解析エンジンが回路の上半分を解析し終わると、結果を対称的に下半分にコピーします。この時には解析時間を必要としません。 この場合、下半分にはなにも導体を描く必要がないことに注意してください。 あるいはまた、対称線の下にいかなる導体を配置しようと 解析結果は変化しないことに注意してください。

Oddモード対称性

Oddモード対象性は一方の線路の電圧が他方の線路の電圧の正反対になっているときに使われます。 これはまさしく結合線路のoddモードに他ならず、 oddモード対象性を使うことができます。 これはSonnetの導体box壁を対称面として使うことで実現できます。 この面は時折”電気壁”と呼ばれることがあります。 (この対称面では電界が0になるからです) あなたが間隔Sを隔てた結合線路を解析したいなら、 一本の線路を電気壁からS/2だけ隔てて配置すればよいということになります。

すでにある線路を電気壁として使うbox壁に近づけるために ドラッグして移動することができます。 しかし、もっと簡単な方法があります。 まず、[Circuit]-[Box]メニューからbox dimensionのY寸法を変更します。

まず、上図のようにcell sizeをロックします。 そして Y box sizeを半分にします。 上の例では Y box sizeは250でしたが、125に変えました。 もし元の回路がbox中に対称に配置されていれば、この操作は box wallの下の壁を必要な対称線まで上に移動することになります。

上の回路は 下側の線路とポートがSonnetのboxの外にあるので、適切に動作しないでしょう。 そこで、電気壁を使う第二のステップは、下側の線路を削除することです。 最終的に回路は図のようになります。

特性インピーダンスと実効誘電率の変換

ここで紹介した技法をつかってeven/oddモードのインピーダンスを計算したときは 注意しなくてはなりません。 教科書で通常定義されている”標準的な”値を得るために Sonnetの結果を半分にしたり、倍にしなくてはならない場合があります。

下の表はsonnetの定義と標準的な定義の関係をしめしています。 この表を半分にしたり倍にしたりの判断の参考にしてください。

Odd モード

Z0

Eeff

標準的な定義 Zodd Eodd
Sonnetが+1/-1ポートを使った場合 2*Zodd Eodd
Sonnetが電気壁を使った場合 Symmetry Zodd Eodd
Even モード

Z0

Eeff

標準的な定義 Zeven Eeven
Sonnetが+1/+1ポートを使った場合 Zeven/2 Eeven
Sonnetが磁壁を使った場合 Symmetry Zeven/2 Eeven

例えば、+1/-1ポートを使ってsonnetが計算した結果のZ0は標準的なインピーダンスの定義の2倍の値になります。 したがって、標準的な定義の値を得るためにはsonnetの結果を二倍にしなくてはなりません。

訳注:

ここで言う”標準的な定義”は、マイクロ波分野で古くから用いられているものです。 最近、高速デジタルの分野や、移動体通信で注目されている ”平衡モード”とか”差動モード伝送”で用いられる特性インピーダンスZdiffは ここでいう2*Zoddに相当します。 すなわち、sonnetで+1/-1ポートを使った場合、結果はそのまま”差動モード”になります。

対称性を利用した問題の分割はsonnetに限らずマイクロ波分野での 電磁界解析では非常に重要な概念です。 複雑な問題では対称性を利用することで計算時間を画期的に短縮できることがあります。 しかし、 ここで論じているような、単純な問題では、計算時間が非常に短いため 対称性を利用して問題を縮小してもその効果は非常に小さなものです。 単に”モードインピーダンスを算出する事”が目的であれば、 ここで説明している概念を理解する努力より 単にポートの番号付けで+1/-1にすれば差動モード解析が可能だと考えて差し支えありません。

石飛

S-パラメータの変換

S-パラメータの場合にはそれほど単純ではありません。 Z-パラメータを半分あるいは倍にする必要があるかもしれません。 これはS-パラメータの正規化インピーダンスを半分あるいは倍にすることに相当します。 その全てをする必要はないかもしれません。 (コプレナ線路の場合など) それらはeven/oddモードの定義に依存しています。

電気壁を使ったsonnetの結果をpush-pull(+1/-1)ポートを使ったのと同じ結果に変換するには二つの方法があります。

  1. もしまだ解析して無いならProject editorでポートを25Ωに設定してください。 sonnetは50ΩS-パラメータを計算します。 しかし結果をプロットするときには sonnetは25Ωだと言ってきます。 それを50Ωとして解釈するべきです。 S-パラメータをファイルに書き出すとき、ヘッダ行には25Ωと書かれます。 これを修正するためには一旦25Ωのまま書き出して、 後からエディタを使ってヘッダ行を50Ωに修正してください。

    あるいは
  2. もし、すでに回路の解析が終わっているなら、たぶんデフォルトの50Ωポートを使っているでしょう。 S-パラメータをプロットすると、結果はデフォルトの50ΩS-パラメータが表示されるでしょう。 しかし、oddモード対称性を使っているなら、そのS-パラメータは実は100ΩS-パラメータです 。 50ΩS-パラメータを見るには、terminationを25Ωに変更しなくてはなりません。 ([Graph]-[Terminations]を使ってください) そうすればグラフは”25Ω”だといいますが、それは本当は50ΩS-パラメータです。 もし、S-パラメータをファイルに書き出すなら、ファイル中のヘッダ行には25Ωだと書かれます。 (teminationは25Ωに変更してあるとして) これを修正するためには一旦25Ωのまま書き出して、 後からエディタを使ってヘッダ行を50Ωに修正してください。

あなたのoddモードの定義によっては上のステップは必要ないことに注意してください

evenモードに対しては sonnetは磁壁を使おうが、push-pushポートを使おうが、同じS-パラメータを結果として出します。

その他の参考資料

もし、sonnetの結合線路についての解析について詳細な興味があるなら、 knowledge baseの Coupled Stripline Benchmark. を読んでください。 これはsonnetでの結合ストリップ線路の解析の精度を確認するための Excelのファイルを含んでいます。

もしコプレナ導波管 (CPW)解析に興味があるなら、 Modeling Coplanar Waveguide (CPW) in Sonnet. を読んでください。

Last Modified
Thursday, August 01, 2002