2011/2/21
石飛
基本
シミュレータに必要な性能
sonnetなどの電磁界シミュレータでは、一般のPCの評価とは違った観点でPCを選択しなければなりません. 一般のPCでは画像動画などヴィジュアルな処理が重要ですが、 Sonnetでは画像処理の能力はほとんど要求されません. 一方電磁界解析ではCPUのクロック速度、メモリのスピード、そしてSonnet V12以後では コア数が非常に重要です. また、忘れられがちなのは信頼性です.一般のPCでは100%の負荷で動作するのは一瞬かせいぜい数10分でしかありません. しかし電磁界解析では数時間や数日にわたって100%の負荷で酷使されることがあります. 熱的に余裕の無いノートPCでは到底耐えられません.
解析規模とメモリと解析時間の関係
多くの方が多くのメモリを実装すれば大きな問題が解析できると信じています. ところが、Sonnetその他多くの電磁界シミュレータでは、 モデルの未知数の数をNとすると、メモリ使用量はN^2、計算時間は N^3に増えます. つまりメモリを2倍に増やすと、解析時間は2.8倍になるし、メモリを10倍に増やすと、解析時間は30倍にもなってしまいます. したがってメモリを増やし、モデルを複雑にしても、現実的な計算時間ではすまなくなるのです.
Sonnetのグレードと必要な性能
とはいってもSonnetのグレードによっては、PCの選択に神経質になる必要はありません. 特に Sonnet Level3Goldまでは、メモリの使用量は最大でも2GBですから、 2,3年以内に購入したPCであれば十分実用的に動作します. 一方 Sonnet Professionalではメモリの使用量に制限がありませんから、どの規模の問題まで想定するかによってPCの選択に悩まなければなりません. V13では level3GoldとProfessinal standardとhigh performanceで解析速度が 1:3:12程度違います.とすると同じ解析時間で解析できる問題のメモリ使用量は 1:2.1:5.2程度の比率になります.
| グレード | Lite | LitePlus | Level2Basic | Level2Silver | Level3Gold | professional standard nodelock | professional standard network | high performance |
| メモリ制限 | 32MB | 64MB | 128MB | 256MB | 2GB | ∞ | ||
| 解析速度 | 1 | 3 | 12 | |||||
| PCに必要なメモリ例 | OSが動く程度 | 4~8GB | 10~20GB | |||||
CPUとメモリ
CPUの選択に 重要な項目は,コア数、ベースクロック、メモリバスです.
コア数
SonnetのグレードによってSonnetが使用するCPUコア数が違います.
例えばSonnet Level3 Gold V13は 同時にひとつのCPUしか使いませんが,
Sonnet HighPerformance V13は同時に12のCPUを使って計算します.
PCやCPUのデータの中には物理的なCPUの数でなく,OSが認識する仮想的な
CPUの数を表記している場合があります.
Sonnet(や多くの電磁界シミュレータ)では
Hyperthreadingとよばれる手法で実現された仮想CPUは全く効果が無いので注意してください.
ベースクロック
CPUのクロック速度は,経験的に解析速度にほぼ比例します. しかし早いクロックのCPUは非常に高価ですし熱的な負担も大きいことを知っておいてください. ターボクロックと呼ばれる 一時的にクロック速度を早める仕組みは 熱的に余裕のある場合にだけ働きます. 電磁界シミュレータでは高負荷で長時間動作するので, ターボクロックのような一時的な高速化手段はあまり効果がない場合があります
メモリバス
メモリバスの速度は地味なスペックで見逃される場合が多いのですが, 電磁界シミュレータのように 多量のメモリに,しかも広いアドレスに渡ってアクセスするプログラムでは 重要です.
ベンチマークテスト
Sonnet emの実行時間についての文書に ベンチマークモデルや結果をまとめてあります.
筐体やOS
筐体
取り扱いの容易さからノートPCをお望みの方が多いです. しかしノートPCは長時間高負荷の運用に耐えられません. デスクトップ筐体のPCをお勧めします.
Professional standard network や high performanceで、 remoteEMサーバーをお使いになる場合、remoteEMサーバーは24時間連続高負荷の運用にさらされます. デスクトップ筐体のPCの中でも特にワークステーションと呼ばれる製品を選んでください. あるいは、サーバー用マシンは非常に丈夫で連続運転や衝撃にも強く、余計な機能がついていないのでお安いです. ただし、サーバー用OSの管理は(たとえwindows serverでも)一般のwindowsとは別のスキルが必要です.
OS
Sonnet V13は Windows XP,Vista,7, Linux(RHEL,SLES)を正式サポートしています. しかし,Vistaの実績はほとんどありません.
2010/4頃 日本語版XPでだけ発生する問題 が立て続けに発見されました. いよいよWindows7に切り替えなければならない時期かもしれません.
professional版はlinuxでも追加料金無しに使用できます. ただしRHELとSLESしか正式サポートされていません. その他のディストリビューションでの利用は自己責任でお願いします.
どのlinuxディストリビューションでも解析のパフォーマンスはwindowsと同じですが、マウスや画像の操作はwindowsに数段劣ります. 直接操作するマシンとしてはお勧めできません. しかしlinuxの管理に(マウスを全く必要としない程度に)慣れている場合remoteEMサーバー用としては使いやすいです.
非推奨
ネットブック
お勧めしません.ありとあらゆる反応が遅く不安定で、 sonnet liteを試すだけでもストレスを感じるでしょう.
仮想マシン
お勧めしません. 確実に不安定で、確実に操作に対するレスポンスも解析パフォーマンスも劣ります. サポート対象外の使用方法ですし、 ライセンス規約上グレイな領域です.将来禁止される可能性があります.
remote desktop,VNC,X11などのリモート操作
ノードロックライセンスではリモート操作はできません. ネットワークライセンスでも 確実に不安定で、操作に対するレスポンスが劣ります.
快適にリモート操作を使用するには
- remoteEMサーバーと
- ネットワークライセンスを管理するライセンスサーバーを
- sonnetをローカルにインストールし
- 実行時はその都度ライセンスを受け取り
- 解析ジョブはremoteEMサーバーに任せる
