セルサイズカリキュレータはVer8から追加された機能です。 非常に目立たない改良ですが、計算時間を桁違いに改善する効果的なモデルを作るために役立ちます。
例題
一例として次のような マイクロストリップ構造の 二段平行結合バンドパスフィルタを考えてみます。

基板厚 h=0.73(mm) 誘電率 εr=2.6,フィルターの数値は半端な値になる。
寸法数値は”でたらめに”決めたもので 設計理論に基づくものではありません。 しかし、フィルターの設計を経験なさった方なら、 (集中定数か分布定数かに関わらず)
フィルターの素子値はこのような半端な数値になることは よくご存知だと思います。
sonnetでこのフィルターのモデルを作るとき、

セルサイズ0.001mmではモデルを入力しても、解析できない。
とりあえず、セルサイズを非常に小さくする 事は決して間違いではありません。が このままのセルサイズでは 解析不可能 です。
セルサイズカリキュレータを使う
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Xgeomの[Circut]-[Box]メニューで セルサイズを設定するBox Settingsダイアログを開きます。
そして Cell Size Calculatorボタンをクリックします。
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Calculatorを選んで、次に進みます
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X方向の重要な寸法値と許容誤差をを入力していきます。
ここでは4.0mmは単なる50Ω線路なので許容誤差は30%としてあります。 4.532と4.321は共振器の長さで、フィルターの中心周波数を
直接決める数値ですから誤差を2%と設定しました。
Calculateボタンを押すと最適なセルサイズが0.385mmと
Updateボタンを押すとそのときの各寸法への誤差が計算されます
どの寸法も設定した誤差に収まっています。
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Y方向についても同様に重要な寸法値と許容誤差をを入力していきます。
この問題ではy方向の寸法は、 導体の線路幅と線路間隔です。 これらはバンドパスフィルターの帯域幅と関係しますが、 x方向と比べると素子感度は低い傾向にあります。
また非常に細い隙間は現実には製造精度で制限されることがしばしばです。 ここでは全て5%の誤差に設定しました
Calculateボタンを押すと最適なセルサイズが0.076mmと
Updateボタンを押すとそのときの各寸法への誤差が計算されます
どの寸法も設定した誤差に収まっています。 一番大きな誤差は0.073mmの隙間が、0.076mmになっている部分で4%の誤差です。 しかし製造精度で0.003mmの再現性が現実的かどうかを考慮すれば
無視し得るでしょう。
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セル寸法を変更したことで、導体パターンがグリッドからずれてしまいます。
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ctrl-Aか、または [Edit]-[Select All]を選んですべての導体パターンを選択します。
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Xgeomのメニューで[Modify]-[Snap to]を選び Snap Objectsダイアログボックスを開きます。
X and Y を選んで OK します
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導体パターンが新しいグリッドに丸められます。
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セルサイズカリキュレータで改善したモデル |
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オリジナルなパターンと比較してみましょう。 寸法数値は指定された誤差の範囲で微妙に変化しています。
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オリジナルなモデル |
セルサイズカリキュレータを使わない場合
ソネットでは推奨しませんが、 現実に良く行われている方法は,セルサイズを 解析可能な程度に1/2,1/5,1/10,1/100のように切りのいい数字で荒くしていく
方法です。 この例では下図のようにx方向に0.1, y方向に0.01まで荒くしてメモリ使用量を45MBにまで縮小してあります。
結果
| モデル |
セクションサイズ |
サブセクション数 |
メモリ使用量 |
解析時間 |
| オリジナル |
0.001x0.001 |
? |
? |
解析できず |
| セルサイズカリキュレータでの改良 |
0.385x0.076 |
1438 |
9MB |
8秒/周波数 |
| 直感的な改良 |
0.1x0.01 |
3208 |
45MB |
5分32秒/周波数 |
セルサイズカリキュレータを使うことで、解析時間は1/40に早くなりますが、 より大切なことはセルサイズを大きくしたことによる誤差が管理されていることです。
セルサイズの選択によってsonnetの解析時間を飛躍的に改善できます。 マニュアル Vol1のChapter4 Subsectioningの Selecting
Cell Size (P56)に より詳しい説明があります。 セルサイズカリキュレータはこのマニュアルで説明されている セルサイズの選択を簡単に行うためのツールです。
使用したモデルファイル