ABSはSonnetだけの超高速周波数スイープアルゴリズムです。

ABSとは何か?

ABS(Adaptive Band Synthesis:適用型帯域合成)はsonnetだけの超高速周波数スイープアルゴリズムです。ほとんどあらゆる問題に対して、 周波数特性を得るための時間を一桁以上早くします。

周波数スイープが圧倒的に早い

通常、電磁界シミュレータは、周波数を少しずつ変化させてその都度 電磁界解析を行います。例えば

start 1.4GHz stop 1.55GHz step 0.005GHz

といった指定を行います。この例では30回の電磁界解析を行います。 (30点では急峻な周波数特性をもった回路には不十分かもしれません)

ところが、sonnetのABSでは

start 1.4GHz stop 1.55GHz

開始と終了の周波数だけを指定します。 この帯域の中で必要な周波数をsonnetが自分で判断して解析します。 その必要な周波数点は、一般に数点に過ぎません。 SonnetのABSはその数点の電磁界解析の結果(と途中経過)を元に 十分な周波数分解能の結果を合成するのです。

上の図では、3段バンドパスフィルタの特性を、 たった4点の電磁界解析の結果から合成しています。 つまり4つのデータからその間のデータを内挿(補間)しているのです。

信じられない?

その通り、これは従来の補間の理論からは全く不可能です。 しかしSonnetのABSは、Sonnet内部の電磁界解析の途中データを 有効に活用して、この信じられない補間を実現しています。

結果的にABSを使うと、周波数特性を求めるための 全体の計算時間は1/10から1/100も短縮されます。

精度を損なわない

補間には誤差が付き物です。1/10や1/100にまでサンプル点を減らせば、 さぞかし大きな誤差が生じるはずですが、 SonnetのABSではほとんど誤差が生じません。

上のグラフはABSを使った結果と、従来の方法で30点の電磁界解析をして計算した周波数特性を重ねて描いています。グラフは完全に重なっていて、誤差を見出すことができません。 特に1.44GHzにあるS11の極小点に注目してください。30ポイントの解析ではわからないはずの、この極小点をABSは正確に把握しています。 これもSonnetのABSが Sonnet内部の電磁界解析の途中データを 有効に活用しているからです。

他社の高速スイープと何が違いますか?

Sonnet以外の電磁界解析プログラムも同様の機能を持っています。 しかし次の点をチェックしてください

広い帯域でも利用できるか?
比帯域幅(2*(stop-start)/(stop+start))が広いときにも適用できますか? 10%や20%なら使えても50%や100%になると使えない場合が多いです。 つまりBPFには使えても、LPFには使えないわけです。 SonnetのABSは100%を越える比帯域を指定しても動作します。
誤差は何処で生じるか?
一般に帯域の両端で誤差が急激に増えてしまうことが多いようです。 SonnetのABSでは上のグラフのように指定した全帯域で誤差を見出すことができません。
どれほど早くなるか?
補間理論に基づいている限り、データ数を極端に減らすことはできません。 SonnetのABSがSynthesis(合成)と呼んでいるのは、 内部データから高度なモデルを合成しているからです。 これによって必要なデータ数は極端に少なくなります。

これらの点でSonnetのABSは 他のシミュレータの高速スイープと比べて 圧倒的なパフォーマンスを持っています。

弱点はないのですか?

あります。 解析すべき問題が導波管モードの共振を起こしている場合、 ABSは効果的ではありません。 Sonnetでは、実際に解析をはじめる前に、 この導波管モードの共振の有無を見積もることができます。